GREETING 代表挨拶

皆さんは微生物をみたことはありますか?今の時代は検索さえすればスマートフォンでも簡単に微生物の電子顕微鏡写真をみることができます。そこにはボールのような、長いひものような微生物の姿をみることができます。彼らの中には動かずにじっとしているものもいますが、実に多くの微生物が水の中をはげしく動きまわります。彼らの動いている姿をみると、かつてレーウェンフックが直感的に「これは生き物だ!」と悟ったことも、なるほどと納得できるはずです。

微生物はなぜ動きまわるのでしょう?これが、本領域の命題です。簡単なようで、とても歯ごたえのある問いです。微生物が動く意味を知るためには、まずは微生物が動く姿を詳しく視て解析する必要があります。この点が、これまでは大きなハードルでした。しかし、顕微鏡や高感度カメラ、画像解析技術の進歩によって、やっとこのハードルを乗り越えることができるようになってきました。同時に、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)のような微細加工技術の発展によって、微生物を様々な実験環境に置いてみて、その行動をつぶさに観察することも可能になってきました。さらに、ゲノム解析技術や遺伝子改変技術の革新は、動きの遺伝的基盤や進化の理解に大きく寄与しています。

ミクロの世界で起きている微生物の行動は、未知・未解明の現象に溢れています。私たちも、日々手探りで研究をする中で微生物の新たな一面にふれ、多くの驚きと感動を覚えています。ミクロの世界に溢れるこの感動を、私たちの成果発信によって少しでも皆さんと共有できればと考えています。ぜひ本領域をご支援いただき、いっしょにミクロの世界の不思議にふれていただければ嬉しいです。

産業技術総合研究所
生物プロセス研究部門

菊池 義智